こんにちは、日々フランス語を趣味として学習し続ける言語マニア、まったり温泉と申します。今回はフランス語学習者している人であればだれもがぶつかる冠詞の疑問を3回に分けて解決していきます。第1回目は「総称」の冠詞です。
冠詞の基本
まずフランス語には英語と同様に、冠詞といって名詞の前に付けるものがあり、つける冠詞によって意味が大きく変わる場合があります。
冠詞には
- 定冠詞 (le /la /les) Il ne faut pas regarder le soleil directement.
- 不定冠詞(un /une /des)Je mange une tarte aux pommes.
- 部分冠詞(du /de la) Je bois du vin.
の三種類があります。
総称の冠詞
総称の冠詞のイメージとしては、物事を一般的なものとして表現する際に使う、冠詞になります。
使われる冠詞は
- 冠詞(le /la /les)
- 不定冠詞(un /une)
です。
不定冠詞の des は、下の図のように全体のうちの一部の数えられるものたちを表すため、総称の表現にはなじまないことがわかると思います。
総称の定冠詞の使い分け
ステップ1 可算(数えられるもの)か不可算(数えられないもの)を確認
代表的な動詞 aimer を例に説明すると
- J’aime le cinéma (私は映画が好き)
- J’aime les chats (私は猫が好き)
この場合の cinéma は数えられない(男性不可算名詞)ので、総称的、概念な「映画」を言いたいときは定冠詞 le を使います。
けれど、cinéma だから不可算だと安直に考えることもできません。それは、cinéma という言葉で表したい意味によって可算にも不可算にもなりうるからです。例えば、cinéma を「映画館」という意味で使う場合は可算になる場合もあります。ただし、可算の「映画館」で使われる場合は今回の「総称」の意味というより、あとで説明する「特定」「不特定」の意味で使われることが多いので、いったん頭の片隅に置いておいてください。ここでは、あくまで、総称的、概念的に好きということに注目してください。
次に chat について、猫は数えられる(男性可算名詞)ので, 定冠詞複数の les を使います。ここで、数えられない猫としてとらえた場合、「猫の肉」と捉えられてしまうので注意が必要です。
ステップ2 可算名詞のうち不定冠詞 un /uneで総称があらわされるもの
この表現については、とても専門的な説明になるので、よほど文法論的にフランス語を学ぶ必要がある場合を除いて、まず前述の le la les で総称を表すことを身に着けていく方がいいと思います。
説明せんのかい!って思われるのも、このページを見て頂いた人に失礼なので、一応説明しておくと、
総称を表すun X は、Xの集合から取り出した一つの要素Xによってすべてを代表させる用法 である。
Un assassin ne peut hériter de sa victime
殺人犯は自分が殺した人から遺産を相続することはできない。
『中級フランス語 冠詞の謎を解く』
とあります。これは、あくまで集合Xを代表する一個のXに視点を当てる用法であり、集合X全体に視点を向けた用法ではない、という点に注意が必要です。つまり集合X全体を説明するような、
- La cigarette est mauvaise pour la santé.
といった文章の主語にuneを使用することはできないということです。総称のun/une は総称である一面と一個体である一面を同時にイメージさせる表現であると解釈します。
初級の段階では、こんな使い方もあるのね~、くらいに覚えておく程度で良いと思います。
まとめ
総称の表現は
- 不可算名詞は le la
- 可算名詞は les
- 集合を代表する1つに視点を向けた総称の場合は un une
を使用する。
次回は物事を特定したときの冠詞についての記事になります。皆さんの疑問が少しでも解決したら嬉しいです。